葉っぱだより
No.47 ダケカンバ
05 Dec. 2009(03 May 2013 加筆)
カバノキ科カバノキ属(BETULACEAE Betula)
和名:ダケカンバ
学名:Betula ermanii
アイヌ語名:たくさんの呼び名(23個)があります。以下、川村(1)から抜粋します。類似はここ記載するために私が分類したものです。
・カパツタツ
・カムイタツ(ほかに類似4種)
・サラムペタツ(ほかに類似4種)
・シイタツほかに類似2種)
・シリコロカムイ
・タツトニ(ほかに類似2種)
・サラムペタット
・シイタツ(ほかに類似4種)
・タツニ(ほかに類似2種)
・メタツ(ほかに類似4種)
和名の由来
嶽カバ(2)、岳カバ(3)。いずれも山岳にあるカバということでしょう。
別名サゥシカンバ(そうしかんば 草子カンバ)とあります。皮を剥いで文字を書いたこと由来するそうです(3)。木簡は出土することがあるが、サゥシカンバに書き付けたものは残ってはいないのでしょうね。学名の由来
Betula:葉っぱだよりNo.43/44 ウダイカンバをご覧ください。
ermanii:エルマンの(植物採集家)(2)
アイヌ語名の由来
カパツタツ:薄いかば皮(1)
メタッ:me-tat=寒気・樺皮(4)
分布と立地
全道に分布します(5)。広く見ると、日本では本州・四国、さらにオホーツク海を囲むように千島列島・カムチャッカ半島にも分布します(6)。
一般に亜高山の森林限界を形成しますが、北海道東部では海岸線からでもダケカンバが出現します。初めて見たときには、一瞬「んっ!」と思いました。
先駆性樹種で山火事跡地などに一斉林を形成しますが、シラカンバに比べて長寿命で平均200年を越えています(7)。ちなみにほかのカンバ類をみると、シラカンバは100年前後(8)、ウダイカンバは150年前後(7)とされています。
□おまけ
〔ダケカンバの芽生え〕
昨年(2012年)あたりから芽生えの状態をスキャンできないものかと思い、集め始めました。森の中をかけずり回っても集めるのは難しいので、雪印種苗の苗畑にお願いしていただいてきています。
バットに播種したもので、ビニールハウスで育てられているものです。森の中で同じような時期にどんな姿なのかはわかりません。
〔参考文献〕--------------------------------------------------
(1)川村正一 編,2013,新編 アイヌ語の動植物探集,253pp,文泉堂
(2)牧野富太郎,1981,牧野新日本植物図鑑,1060pp,北隆館
(3)上原敬二,1961,樹木大図説1,1309pp,有明書房
(4)福岡イト子,1993,アイヌと植物,旭川叢書第21巻,旭川振興公社
(5)伊藤浩司・日野間彰・中井秀樹編著,1994,環境調査・アセスメントのための北海道高等植物目録Ⅲ離弁花植物,480pp,たくぎん総合研究所
(6)渡邊定元,1995,ダケカンバ,週刊朝日百科 植物の世界88,8-102~8-104,朝日新聞社
(7)渡邊定元,1994,樹木社会学,450pp,東京大学出版会
(8)「天然林 Q&A」編集委員会,1988,天然林施業 Q&A,124pp,北方林業会