他者へのまなざし

鷲田清一

おしゃれは他人の視線をデコレートするものだという考え方がすてきだ。夏にお坊さんやご婦人が白い生地の上に重ね着をしているようなあの黒く透けたきものは、なによりそれをまなざす人の眼を涼ませる。逆に学校での先生のジャージー姿が生徒を傷つけることもある。私たちの存在はこの程度にしか扱われていないのか、と。服にはあんがい思い意味がある。

2007/06/30
鷲田清一(わしだ きよかず),2006,哲学を着て、まちを歩こう ファッション考現学,262p,284pp,ちくま学芸文庫,筑摩書房